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日本医科大学形成外科 水野 博司 |
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私は1999年3月から丸2年間、ロサンゼルスにあるUCLA(カリフォルニア大学ロサンゼルス校)の形成外科に留学していました。もとはといえば創傷治癒に関する研究が目的というより、その頃基礎医学的知識が全く無かった私は(今でもそれに近いですが)、形成外科医としての臨床研究と臨床留学を目的として何となくUCLAを選んだに過ぎませんでした。ところが渡米する数ヶ月前に、とある形成外科の学会でTissue Engineeringに関係した講演を聞いた際、今でも覚えていますが何とも言えない魅惑に取り付かれた気がして、早くこの分野を知っていれば違う大学に行ったのに、などと後悔にも似た感触を覚えながらの、さりとて異国の地に旅立つワクワクした感情を抑制できぬ出発となりました。
医学生時代英語が苦手で留年しかけたこともある私でしたが言葉の壁をかなり感じつつも数日後に出会ったのは形成外科助教授のMarc Hedrick先生でした。彼は気さくで色々声をかけてくれるうちに「Tissue Engineeringの実験を一緒にやらないか。」と誘ってきたのです。僕にとっては何とラッキーなことか、UCLAで良かったかも、などと思いつつ迷わず彼のラボに入る決断をしました。先ほど申しましたように留学期間が2年と最初から決まっていたのでこの間に研究結果を出さねばならないというプレッシャーもあり、最初の1年は臨床から出来るだけ離れる生活を自らに強いて研究に集中しようと決めました。ロスは美容外科も含め非常に形成外科が盛んで臨床も勉強したい気持ちは同じように強かったのですが辛いながらも割り切る必要がありました。 ラボの2大研究テーマは胎児創傷治癒と再生医学でした。再生医学については脂肪組織から間葉系幹細胞を見つけることでしたが当時ラボは出来てまだ半年足らずで、ヒトもお金も潤沢でない状態からの始まりでした。テクニシャンに手取り足取り教えていただき少しずつ慣れてきた矢先、彼や他のメンバーが突然他の大学のラボに移動とのことで、こういう突然の人の移動はよくあるとは聞いていたのですが余りにもいきなりでしたので一時途方に暮れかけたこともありましたが良くも悪くもアメリカを体験できた一幕でした。その後新たなリサーチフェローや医学生が加わり次第にラボの体裁を整えつつ、かつ研究も山あり谷ありを経ながら徐々に成果も出て2年目に入った頃には学会発表や論文作成など始めることが出来ました。そして帰国前数ヶ月は思う存分臨床の仕事をしたり、旅行したり、あっという間の2年間でした。その後UCLAのラボは大きく発展しHedrick先生はベンチャー企業を立ち上げるまでに至っています。一方私も帰国後の現在は今の職場で彼らとコンタクトをとりつつ、それまでの研究を若い先生方とともに継続しています。
私の関わりました研究内容ですが、脂肪組織から間葉系幹細胞を取り出し脂肪、骨、軟骨、筋肉などの細胞や組織を再生させる研究でしたが、2001年4月に同僚とともに研究成果を論文発表したその日、日本に帰国して1ヶ月ほど経っていた私は学会出張先のホテルのテレビニュースでそのことが報道されたのを偶然目にし、更には翌日の多くの朝刊に記事が掲載されるなど、再生医学領域における壮大な発見の一つの根幹に関わりを持てた一員であったことに本当に幸せを感じたものでした。
最後に限られた書面ですべてをお伝えするのはとても無理ですので私たちの研究に興味をお持ちの先生方は下記論文を参考にしていただければ幸いですし、御質問などございましたらいつでも御連絡いただければ光栄でございます(mizunohiroshi@ hotmail.com)。またHedrick先生がChief Scientific Officerを勤めるMacroPore Biosurgery Incのホームページにも興味のある先生はアクセスしてみて下さい(www.macropore.com)。 Zuk PA, Zhu M, Mizuno H, et al, Tissue Eng 7: 211, 2001 Mizuno H, Zuk PA, Zhu M, et al, Plast Reconstr Surg 109: 199, 2002 Zuk PA, Zhu M, Ashjian PH, et al, Mol Biol Cell 13: 4279, 2002 |