|
1. 人工皮膚研究開発センター設立の経緯
北里大学における人工皮膚の研究開発は、初代形成外科教授であった塩谷信幸先生の研究方針で1985年に工学系の研究者である黒柳が形成外科に入局したときから本格的にスタートした。同大形成外科では、「人工皮膚の研究開発には、材料設計など、医師だけでは解決できないこともあり、研究領域の異なる学際的な共同研究体制が必要である」という方針が導入された。人工皮膚には、創傷被覆材と培養皮膚代替物の2つがある。同大形成外科では、黒柳を中心として感染を抑えることを目的とした創傷被覆材の研究開発に着手した。その結果、抗菌剤のスルファジアジン銀を被覆材から徐放する新しい発想に基づき創傷被覆材を開発し、1991年に日本バイオマテリアル学会賞を受賞した。一方、培養皮膚代替物の研究も平行して展開し、1993年に、自家培養皮膚の臨床研究を報告した1)。その後、同種培養真皮の研究開発を展開し2)、全国規模の臨床研究の展開を目指して2000年に同大医療衛生学部に人工皮膚研究開発センターを設立した。平成10年度から厚生労働省の研究費を導入し、平成12年度から多施設臨床研究を展開している(表1)。

表1 北里大学医療衛生学部人工皮膚研究開発センターにおけるプロジェクト研究
|