北里大学医療衛生学部人工皮膚研究開発センターの紹介
北里大学医療衛生学部人工皮膚研究開発センター教授
北里大学大学院医療系研究科再生組織工学教授

黒柳 能光
No.2

2.医療に役立つ人工皮膚の設計

 皮膚分野における再生医療は、自家分層植皮という最強の競争相手がいるため、目的を明確にした人工皮膚の材料設計を行わなければ研究開発の意義が薄れ、真の医療に結びつかない。皮膚再生能力を最大限に発揮できる環境を作ることが皮膚の再生医療である。人工皮膚は、「創傷被覆材」と「培養皮膚代替物」に大別される3)。前者は、創傷面を被覆して皮膚再生能力を発揮できる環境をつくる目的で使用される。後者は、細胞を利用して皮膚再生能力を最大限に発揮できる環境をつくる目的で使用される。厳密には、(1)患者自身の角化細胞や線維芽細胞を利用して永久生着を目的として使用する“自家培養皮膚代替物”と(2)他人由来の角化細胞や線維芽細胞を利用して、細胞から産生される生理活性物質により創傷治癒を促進する目的で使用する“同種培養皮膚代替物”に分類する。

 

3.再生医療の推進に必要不可欠なガイドライン

 米国では、ヒトの組織や細胞由来の医療製品に関するガイドラインが食品医薬品局(FDA)により提案され、既に幾つかの培養皮膚代替物が製品化されている。日本では、これまでヒト組織細胞の取り扱いに関する基本法律が整備されていなかったためヒト組織細胞の医療への利用を展開する場合の最大のネックとなっていた。しかし、平成12年12月26日に日本でも再生医療に関するガイドラインが作成された(ヒト由来細胞・組織加工医薬品等の品質及び安全性の確保に関する指針)。そして、平成13年3月28日に厚生労働省から最終的なガイドラインが発表された(細胞組織医薬品及び細胞組織医療用具に関する取扱いについて)。再生組織工学の技術を駆使して新しい医療を慎重に、そして遅延なく進展させるためのガイドラインが国内において整備されたことは、再生医療の普及において極めて重要な意義をもつ。

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