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教室の肝再生の研究は、医学部外科学第2講座にて主としてマウスやラットといった小動物を用いて開始しました。その後平成15年に大学院に改組され、消化器病態外科となり、肝不全と肝再生に関してさらに独創的な研究を行っております。
1. 肝不全の研究
従来より肝不全や肝再生の実験にはHiggins&Andersonによって確立された70%肝切除の肝再生モデルが基本に用いられ、90%肝切除は致死モデルとされてきた。教室の窪田1)は肝静脈や門脈の枝を丹念に処理することによりout
flow blockを防止し、90%肝切除ラットでも100%の生存率であること、さらに許容肝切除量は90%と95%の間にあることを明らかにした。現在のところ95%肝切除ラットの生存率改善の試みが多くの施設でなされており、教室でも多くの教室員がこの研究に従事している。盛田2)はcDNAマイクロアレイを用いて95%肝切除後肝不全の機序を解明した。さらに95%肝切除ラット生存率改善のために、Bcl2の遺伝子治療3)、高圧酸素療法4)、PGE1の持続投与5)などを行い生存率の改善を得た。その他現在でも、95%肝切除ラット生存率改善を目的とした研究を継続している。
2. 肝再生の研究
生体肝移植を含めた肝臓手術は、肝再生という他の臓器にはみられない自然治癒力の上に成り立っている。また、肝不全の治療のためには肝再生を如何に起こさせるかが重要となる。肝再生の機構を解き明かすために多くの研究者がpriming
phaseとG1期からS期への進行の間の遺伝子発現変化に注目している。一方、cDNAマイクロアレイを用いたlarge-scaleの遺伝子発現分析が多くの研究に用いられている。
そこで、我々は肝再生初期、特にG0からS期進行(0〜24h)までの遺伝子発現メカニズムを解明し、さらにS期進行に係わる新しいfactorを探すために、マウス部分肝切除術後肝再生における遺伝子発現を、マイクロアレイを用い包括的に検索した6)。
肝再生のpriming phaseにおいて出現してくるimmediate-early gene(IE gene)のうちでmicroarray上にspotされていた約20個の遺伝子について肝切除後6時間までの発現パターンを比較した。その結果IE
geneとして有名なjun、fos、egr-1において発現の上昇が確認され、多くの遺伝子で発現パターンは一致した(図)。
文献6)より引用
次に肝再生にかかわる新規遺伝子を検索するために、クラスター解析を行った。
まず、1、3時間のみのクラスターから両方において強発現するものを選び出し、23個のimmediate-early geneの候補を見つけた。その中にはIRAK-1
、karyopherinが存在した。
次に全タイムコースにおいてクラスター解析を行い、S期の進行に関連すると考えられる3つのクラスターから、新規の肝再生関連因子としてinhibitor
of DNA binding2(ID2)、inhibitor of DNA binding3(ID3)、Gadd45 gammaを見つけた。
以上から、この方法は新規の遺伝子を探索する上で有用なツールになると考えている。
今後はさらに、肝不全・肝再生の研究を継続して行い、臨床応用から患者さんの利益へと発展させたいと考えております。
Comparison between our data and published data
| Gene |
Animal |
Observation |
Reference |
| junB |
mouse |
expression from 0.5
to 12 hrs |
Cressman DE et al ,
1996 |
| fos |
mouse |
expression at 1 hr,
followed by decrease |
Cressman DE et al ,
1996 |
| p21 |
mouse |
expression from 6 to
24 hrs |
J H Albrecht et al ,
1997 |
| cyclin D3 |
mouse |
expression at 24 hrs |
J H Albrecht et al ,
1993 |
| cyclin D1 |
mouse |
expression at 24 hrs |
J H Albrecht et al ,
1993 |
| TNFR-1 |
mouse |
expression 3 to 5 hrs |
Y Yamada et al , 1997 |
| SAP |
rat |
expression 4 to 16 hrs |
Cressman DE et al ,
1996 |
| IGFBP-1 |
rat |
expression 1 to 12 hrs |
A Ghahary et al , 1992 |
| TGF-β |
rat |
expression 4 to 24 hrs |
L Braun et al , 1988 |
| ID1 |
rat |
expression 6 to 8 hrs |
C L Jossic , 1994 |
| HB-EGF |
rat |
expression 1.5 to 6
hrs |
Kiso S et al , 1995 |
| heme oxygenase-1 |
rat |
expression at 6 hrs |
S Lyoumi , 1998 |
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文献
- Kubota T, Takabe K, Yang M, Sekido H, Ichikawa Y, Togo S,
Shimada H: Minimun sizes for remnant and transplanted livers
in rat. J Hep Bil Pancr Surg. 4: 398-404,1997.
- Morita T, Togo S, Kamimukai N, Nishizuka I, Kobayashi T,
Ichikawa Y, Ishikawa T, Takahashi S, Matsuo K, Tomaru Y, Okazaki
Y, Hayashizaki Y, Shimada H: Mechanism of postoperative liver
failure after excessive hepatectomy investigated using cDNA micoarray.
J Hep Bil Pancr Surg. 9: 352-359,2002.
- Kamimukai N, Togo S, Hasegawa S, Kubota T, Kurosawa H, Li
X-K., Suzuki S, Shimada H: Expression of Bcl-2 family reduces
apoptotic hepatocytes after excessive hepatectomy. Eur Surg Res.,
33: 8-15, 2001.
- Nagamine K, Kubota T, Togo S, .Nagashima Y, Mori M, Shimada
H: Beneficial Effect of Hyperbaric Oxygen Therapy on Liver Regeneration
after 90% Hepatectomy in Rats. European Surgical Research : 2004;36:350-356,
2004.
- 窪田徹、他:過大肝切除。嶋田紘監修、PGE1の肝保護作用―最新の知見―.診断と治療社、東京、P21-31, 2004.
- Togo S, Makino H, Kobayashi T, Morita T, Shimizu T, Kubota
T, Ichikawa Y, Ishikawa T, Okazaki Y, Hayashizaki Y, Shimada
H: Mechanism of liver regeneration after partial hepatectomy
using mouse cDNA microarray, J Hepatology, 40: 464-471,2004.
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