WRR拡大編集委員会のご報告

長崎大学形成外科 秋田 定伯 
  

 第35回日本創傷治癒学会期間中(平成17年12月5日)開催されました、 Wound Repair and Regeneration誌の編集会議での討論事項です。

 大谷吉秀理事から、会の参加者について解説がありました。Lindblad 編集長を始め、日本創傷治癒学会からは塩谷先生(associate editor)、野崎評議員(今回欠席)、岡田評議員(今回欠席)、大谷評議員、徳永評議員のEditorial Board Memberに加え、今回は、日本創傷治癒学会 北島政樹理事長、国際委員会の小野評議員(委員長)、赤坂評議員、篠澤評議員と将来構想検討委員会の秋田評議員、事務局幹事の吉田 昌評議員を加えた「拡大」Wound Repair and Regeneration 編集会議となることが確認されました。

 まず、Lindblad 編集長から、主に2004年度の編集上の各項目につき説明がありました。

  1. 2004年は編集management担当者としてJason Roberts博士に参加していただき、紙面での投稿からonline投稿に変更しました。2004年の3月からのオンライン“Manuscript Central”開始後2004年は全投稿の50%が、2005年には90%の投稿がオンラインになりました。投稿数の増加が2004年は顕著で2003年の140論文と比較して、169投稿まで増加しておりました。アメリカ国内の投稿数は依然として多いものの、特に国際的な投稿数の増加が見られました。国別では日本の投稿数の伸びが顕著です。
  2. Wound Repair and Regeneration誌(以下、WRR誌)の発行は順調で、年間6回のうち3回は最初の月に発行しており、5回は発行期限が厳守されました。また、オンラインでの発行は印刷誌の発行に先行しており、全発行ページは785ページで2003年の625ページと比較しても多く、過去最大となりました。
  3. WRR誌のオンラインでのPDF及びHTMLへのアクセス数は2004年では67,375アクセスであり、2003年の50,472アクセスと比較し増加しておりました。また、2005年については目下集計中であるものの、2004年以上のオンラインアクセスがあるとのことです。
  4. ISI社の“Impact factor”では、2003年の1.757から2004年は2.00以上に上昇したとのことです。医学系雑誌全体ではおよそトップ10%であり、Impact factorの経過としては、2002年の2.505から始まり、2003年には一旦2.00以下となったものの2004年には2.074となりました。臨床領域では皮膚科の専門誌の38誌中7位であり、外科系雑誌のうち24位でした。また、医学研究・実験領域では72誌中29位でした。
  5. 付録2に過去9年間の投稿数の国別分布を示しています。アメリカ合衆国が依然として2004年でも最大の投稿数を示していますが、2004年のデータは紙上投稿と限られたオンライン投稿の合計です。オンライン投稿の開始後初めての投稿国が増え、日本はイギリスと並んで2番目に投稿数の多い国になっております。集計中ですが2005年は日本から20以上の投稿があります。
  6. 2004年の投稿のうちの非採択率は前年2年間と同様で54.4%でありました。この非採択率には学会報告の論文を含めておりません。過去12年間の非採択率は付録3に掲載しています。2004年は50%以上の非採択率でしたが、ページ予算以上の論文の掲載となっております。非採択率をこれ以上増やしたくないものの625ページの総ページ数予算を守るためには2005年の非採択率は増加せざるをえません。具体的には2005年は65%程度まで、2006年には70%にまで上昇させなければいけないかもしれません。
  7. また、総ページ数の10%程度が Wound Healing Society(WHS)、European Tissue Repair Society (ETRS)、日本創傷治癒学会(JSWH)の抄録の掲載に当てられています。既にWHSの抄録はそのページに相当する金額を徴収しており、ETRSも2006年から金額の支払い予定です。JSWHは2007年から有料化の方向に向けて検討しております。
  8. 査読過程の短縮も検討・改善項目であり、1名のEditorial Board Memberと1名の外部査読者からなる査読体制をとっていますが、BioengineeringとStem cellの専門家をEditorial Boardに加える必要がありそうです。理想的には、全査読期間を3週間で終了したい意向です。更に臨床系論文の査読は臨床家に、基礎的論文は基礎研究者に査読していただきます。投稿者に査読可能者を依頼する事も考慮中です。
  9. “copyright assignment form”は投稿の際に必ずつけて投稿していただきます。
  10. 利害関係の衝突(conflict of interest)に関しての取り決めは目下、担当Editorial Boardに配布し検討中です。
  11. 臨床試験(Clinical Trials)に関して、New England Journal of Medicine誌、JAMA誌は厳密に試験開始前のregistry(登録)を義務づけています。日本の状況は如何でしょうか?(参加者一同意見なし)この点については、今後とも検討事項とします。
  12. 新しい項目として、紙面の構成の変更を2006年から実施し、文字が多少小さくなるものの、年間8から10論文より多く掲載可能となります。
  13. また、年一回の更新で表紙に実際の論文のデータを掲載します。今回からの新しい装丁にはVince Falanga教授グループの顕微鏡写真を採択しております。
  14. オンラインの掲載を紙面の発行より先に、(最終的な論文状態で)少なくとも、閲覧可能な状態で掲載します。

質 問

1.塩谷先生: 査読依頼された際に、PDFファイルが開封不可能な場合があったが、どのような理由によるものでしょうか?
 Lindblad編集長: 今、はっきり思い出せませんが、何らかのmechanicalな問題であると思いますので詳細は後ほど調査して報告します。

2.秋田先生: Supplement(増刊号)は通常の発行ページ数とは関係ないのでしょうか?
 Lindblad編集長: 増刊号(Supplement)は、通常のページ予算とは異なっており、1ページ当たりの費用も非営利団体によるものの場合、カラー写真の掲載の有無により$125.00よりも安価になる場合もあります。

3.小野先生: 非採択率が高すぎるのではないでしょうか? 紙面をbimonthlyからmonthlyに変更できないのでしょうか?
 Lindblad編集長: 55%から60%程度の非採択率は合理的であると考えております。Monthlyへの変更はページ予算の面から現実的ではありません。Monthlyにすると予算は余計にかかります。実情として、日本からの論文の非採択率は30から40%程度と平均よりもかなり低くなっています。

4.大谷先生: 数年前のBordeauxでのEditorial board meetingでは、日本からの投稿数が少ないと欧米のEditorial Board Memberから指摘されましたが、付録2にもあるように2000年の投稿数1から2004年には17となり、投稿数ではアメリカ合衆国についで第2位となっております。現在のEditorial Board Memberは総数30名のようですが、日本からは4名(野崎先生、岡田先生、徳永先生、大谷先生)のみです。日本からの投稿数も増加しておりますし、Editorial Board Memberの数を増やしていただけないでしょうか?
 Lindblad編集長: Editorial Board Memberの選定は Publication Committeeが決定しますが、 日本創傷治癒学会の推薦を私にいただけましたら1名ないし2名のEditorial Board Memberの推薦は可能です。

5.北島理事長:予算を増やすためにWRR誌の広告(advertizing)を増やしては如何でしょうか?
 Lindblad編集長: 発行部数が少ないことと、専門誌のため企業の関心はあまりないのが現状です。出版社も種々の方法で収入を増やそうとしていますが、現在まとめて(bundle)が出版社は施設契約(Institutional contract)を結んでおり、その見直しと、個人での雑誌契約(Individual subscriber)から、オンラインの必要な論文の購入が主体となっており、広告収入は多く望めません。

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