1. 理事長あいさつ
日本創傷治癒学会−これからの展望とお願い
日本創傷治癒学会 理事長 北島政樹
 創傷治癒研究会は会員の総意に基づき、第30回研究会(平成12年12月、当番世話人、日本医科大学第1外科 恩田昌彦教授)から学会に昇格し、名称も日本創傷治癒学会に改称されました。新たな門出に際し、会員の皆様のご理解と暖かいご支援をいただきましたことを心より御礼申し上げます。
 学会昇格にともない、新しい会則が制定され、運営体制は、理事・評議員制度に移行いたしました。英文名は、Japanese Society for Wound Healing、JSWHを継承いたします。学会化にあたり将来検討委員会が精力的に開催され、11名の理事、2名の監事の選出が行われ、円滑かつ発展的な学会運営にむけて関連委員会の設置などが行われました。
 創傷治癒と申しますと外傷や手術による損傷を治すことと思われがちですが、創傷治癒は個体への内外からのストレスによる損傷に対して、それを修復していく巧妙な生体反応であり、生物の恒常性維持にかかわる重要なテ−マと考えられます。医学の分野別では外科、整形外科、形成外科、皮膚科、歯科口腔外科など外科系臨床医のみならず、消化器や呼吸・循環器内科さらには、基礎の解剖学や病理学、生化学を専門とされる先生方も多数会員として本学会に参加しておられます。
 近年、Tissue Engineering(再生医学)を応用した新しい分野が発展しつつあります。損傷により失われた機能に対して、自己の幹細胞を刺激増殖させ利用することはもはや夢ではありません。褥瘡に対する創傷管理も数々の基礎研究の積み重ねから、細胞増殖因子を臨床応用する試みが行われています。これらはいずれも患者さんのquality of life(生活の質)を改善していくことに大いに役立っております。
 創傷治癒研究はこれまでにも増して、基礎から臨床に幅広く根をおろした分野として発展していくものと確信しております。日本創傷治癒学会がそれらの中心的役割の一翼を担うためには、理工学系の分野の先生方や欧米のWound Ostomy and Continence Nurses, WOCNにみられるような看護婦さんをはじめとするコメデイカルの方々の協力も当然お願いしていかねばなりません。米国のThe Wound Healing Society, WHSや欧州のThe European Tissue Repair Society, ETRS、豪州のThe Australian Wound Management Association, AWMAとの連携をさらに強化、推進しながら、熱意に満ちあふれた国際性のある先生方とともに、我が国の創傷治癒研究を世界に発信していきたいと考えております。
 お陰様でWHS, ETRS, AWMAと共同で発行しているWound Repair and Regeneration, WRRは本号で第9巻を数え、今回から会員の皆様に学会誌としてお届けすることになりました。すでにCurrent ContentsやPubMedなどに掲載されておりますが、近い将来インパクトファクタ−がつきます。WRRのさらなる充実を基盤に、会員どうしのコミュニケ−ションにお役に立てればと望んでいます。
 末筆ながら、会員の皆様のご発展をお祈り申し上げますとともに、これまでと変らない本学会への暖かいご支援、ご鞭撻をよろしくお願い申し上げます。