胎生期マクロファージと皮膚再生メカニズムの解析

慶應義塾大学医学部 形成外科学教室
酒井 成貴

 

 この度は第48回日本創傷治癒学会学術集会において、研究奨励賞という名誉ある賞を頂き大変光栄であるとともに、われわれの研究の成果が学会や多くの方々に認められたということに、ただただ感動しているばかりです。

 慶應義塾大学形成外科学教室では Scarless wound healing について研究を重ね、マウスの胎生13.5日までは皮膚が完全に再生し、以降は再生せずに瘢痕修復することを確認しました。今回、受賞となりました「胎生期マクロファージと皮膚再生メカニズムの解析」は、胎生13.5日のマウスの創傷部にF4/80陽性細胞であるマクロファージの著明な集積が起こることに始まり、胎生期マクロファージには卵黄嚢と胎仔肝単球由来の2種類があることに着目した研究です。具体的には胎生13.5日には卵黄嚢由来のマクロファージのみが存在し、以降は両方が混在し、これらの違いをマイクロアレイで解析を行い、さらに創傷部で卵黄嚢由来マクロファージが間葉系細胞に転換することを示しました。

 この受賞はひとえに研究室の皆様のお力添えによるもので、あらためて感謝申し上げます。今後も皆様のご期待に添えるように研究に邁進する所存でございます。

 

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