NEDD4 は慢性炎症病態の形成によりケロイド発症に関与する
~ケロイド体質の一因としての可能性~

北海道大学 大学院医学研究院 形成外科学教室
藤田 宗純

 

 この度は第48回日本創傷治癒学会において、研究奨励賞を賜りまして大変光栄に存じます。本学会会長の宮澤光男先生、選考委員会の諸先生、ご指導頂いた北海道大学形成外科教授、山本有平先生、研究全般にわたりご指導ご鞭撻賜りました北海道大学遺伝子病制御研究所・分子神経免疫学の村上正晃教授に深く感謝致します。

 ケロイドの病態には未だ不明な点があり、ケロイド体質についても詳細は解明されておりません。本研究では、ケロイドの疾患関連遺伝子・NEDD4とケロイド発症の病態、慢性炎症との関連について、NEDD4の一塩基多型(rs8032158)の関与に着目して検証した新たな試みです。リスク型の一塩基(C/C)をもつ患者では、NEDD4の特定のtranscript variant (TV): NEDD4 TV3の発現が高くなっており、NEDD4 TV3によって表皮角化細胞、線維芽細胞で局所的な慢性炎症病態が惹起され、ケロイドを発症しやすくなることが示唆され、ケロイド体質を説明する一つの要因であると考えられました。

 今回の研究奨励賞受賞を励みとし、本研究をさらに発展させケロイド治療に貢献していく所存です。

 

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