教室紹介

日本医科大学付属病院 形成外科・再建外科・美容外科
土佐 眞美子

 

 千駄木にある日本医科大学付属病院では、1990年に「形成外科学」講座が開設され、文入正敏先生が初代主任教授、二代目は百束比古先生、2015年4月から小川令先生が三代目主任教授を務めています。

 日本医科大学形成外科学教室は4つの大学付属病院に診療科をもっており、千駄木の付属病院、武蔵小杉病院、千葉北総病院、多摩永山病院に合わせて45人が常時勤務しています。十分なマンパワーがありますので、大学院進学や留学の希望を叶えることができます。また、付属病院には、留学生が絶え間なく来ており、学内で最も外国人留学生を受け入れている教室となっています。

 4年前より千駄木の付属病院では診療科名を「形成外科・再建外科・美容外科」といたしました。狭義の「形成外科」は先天異常の外科、保守本流の形成外科で、唇裂・小耳症・合指症など先天的なマイナスをゼロに戻す治療です。「再建外科」とは熱傷や外傷、癌や糖尿病などの疾病で失った組織をつくる、すなわち後天的なマイナスをゼロに戻す治療です。「美容外科」は医学的には正常なものをプラスにする医療です。狭義の「形成外科」の対象となる子供たちの治療には、両親の心のケアも大切です。「再建外科」の患者さんは、元々正常であった部位を失うショックも大きく、今より良くなるという「希望」が大切です。「美容外科」の患者さんは始まりが解剖学的に正常ですから、エンドポイントを相談しながら少しずつ前進することが大切です。これら3つの科は、来院する契機と患者さんの気持ちが全く異なるわけですが、マイナスからプラスまで整容・機能の獲得を目的とする「理念」そして「手術手技」が共通なので広義の「形成外科」としてまとまっているわけで、これらの違いをしっかりと認識して、患者さんのQuality of Life(QOL)に貢献するという日本医科大学形成外科学教室の理念が、「形成外科・再建外科・美容外科」という診療科名に反
映されています。

 千駄木地区では、メカノバイオロジー・メカノセラピー研究室、瘢痕・ケロイド解析グループ、創傷治癒・分子間相互作用解析グループ、電子顕微鏡解析グループに別れ、互いに密に連携しながら切磋琢磨しています。平成2 9 年度革新的先端研究開発支援事業ユニットタイプ(AMED-CREST)に、教室が推進しておりますメカノバイオロジー・メカノセラピーの研究課題が採択されました。申請テーマは「周期的圧刺激によって制御される血管新生のシグナル伝達機構の解明-非接触超音波を用いた創傷治療法の開発をめざして-」です。患者さんファーストの最善の医療を提供すべく、そのために必要な基礎研究が推進できる環境を整えています。

 現在、日本医科大学形成外科学教室は、5つの理念をかかげています。

5つの理念

 得意分野が異なる人たちが集まり、余力をもってやりたいことに力を注ぎ、お互いが手をつないで足りない部分を補い合う、そんな教室運営を目指して、私も、ジェネレーションギャップに負けず、頑張っております。

 この度、日本創傷治癒学会の評議員を拝命致しました。微力ではございますが、本学会の益々の発展に貢献できるよう精進する所存でございますので、今後ともご指導ご鞭撻の程宜しくお願い申し上げます。

 

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