日本褥瘡学会

東北大学名誉教授(形成外科学)/赤石病院形成外科科長
一般社団法人日本褥瘡学会 理事長
館 正弘

 日本褥瘡学会が多職種による横断的な学会として発足したのが1998年であり、およそ四半世紀がたった。2022年現在、会員数は約8000名であり、構成員の割合は看護師62%、医師20%、薬剤師9%、理学療法士・作業療法士5%などである。この学会は褥瘡に関する共通言語を確立し、定期的な全国実態調査やエビデンスに基づいたガイドラインの発刊等、多方面に積極的に活動し、褥瘡をエビデンスに基づいた学問体系に変革させた。かつては入院患者の4~9%に発生していた褥瘡であるが、2016年には1.8 %と世界で最も少ない有病率を達成している。
 褥瘡の予防・治療に中心的役割を果たしているアカデミアに所属する看護師の目は創傷治癒研究に向けられ、創傷治癒学会に加入する看護師は増加している。褥瘡はその発生原因の解明、急性期の褥瘡の病態、壊死性筋膜炎・骨髄炎などの急性の感染症を合併する事や慢性期に創面に発生するバイオフィルム形成等、創傷治癒研究の材料には事欠かない。アカデミアの看護師は創傷治癒研究において格調高い成果を上げてきており、ベッドサイドへの還元にも繋げている。

 

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