韓国創傷治癒学会 The Wound Meeting 2025 Seoul 及び
2025 WHS Annual Meeting/SAWC Spring Meetingに参加して

慶應義塾大学医学部形成外科
荒牧 典子

 2025年4月11日~12日に韓国・ソウルで開催された The Wound Meeting 2025 Seoul に当学会に2名の演者派遣依頼があり、昨年の第54回日本創傷治癒学会研究奨励賞を受賞された種田桐子さん(慶應義塾大学医学部6年生)と細見謙登先生(三重大学形成外科)が招待演者として派遣され、吉田理事長始め、髙谷健人先生(慶應義塾大学形成外科)、私も参加いたしました。

 本学会は、韓国の創傷治癒分野を代表する国際学会であり、英語で開催され、アジア各国から多職種が集う国際色豊かな場となっています。主催団体である Korean Wound Meeting Society(KWMS) と日本創傷治癒学会は、昨年MOU(覚書)を締結し、学術的な連携を深めているところで、今回の派遣もその一環として実現しました。昨年の第54回日本創傷治癒学会にもKWMSから2名の演者をお招きしており、日韓の相互交流が着実に進んでいることを実感しました。

 学会初日には Presidential Dinner にもご招待いただき、学会関係者の皆様と韓国料理を囲みながら、親交を深める貴重な機会となりました。特に印象的だったのは、学会の運営委員(Committee)の半数が看護師で構成されており、韓国の看護師の方々から「日本の看護師とぜひ共同研究を進めたい」とのお話をいただいたことでした。多職種連携の国際的な広がりを感じる瞬間でもありました。

 種田さんと細見先生は2日目の Korean Plastic Surgery Research Council(KPSRC)とのジョイントセッションで発表されて、現地の参加者から高い評価を受けていました。私自身は、Free Paper セッションにて発表の機会をいただき、光栄にも Best Oral Presentation Award を受賞することができました。今回、久しぶりの国際学会への現地参加でしたが、やはり現地に足を運ぶことで得られる対話と交流の価値は非常に大きく、刺激的で充実した2日間となりました。今後もこのような国際的な連携を通じて、学術的な広がりと人的ネットワークをさらに深めていければと思います。

 続いて2025年4月30日から5月4日にかけて、アメリカ・ダラスで開催された WHS Annual Meeting/SAWC Spring Meeting に参加してまいりました。

 日本からの参加者は、慶應義塾大学形成外科の髙谷健人先生と私の2名のみで、やや寂しさも感じましたが、現地では Upstate Medical University の浦尾紀史先生や、韓国創傷治癒学会の Bommie 先生にもお会いし、直接お話をする貴重な機会となりました。

 私自身、WHSへの参加は2011年以来14年ぶりで、奇しくも当時と同じ会場での開催ということもあり、非常に感慨深いものがありました。

 また、現WHS会長(President)である Susan Volk先生も、私の発表セッションに聴講に来られ、直接ご挨拶させていただくことができました。

 一般演題のほかに、WHSのGeneral Sessionも聴講しましたが、アメリカの研究現場では、シングルセル解析はもはや標準的な技術であり、空間トランスクリプトーム解析やマルチオミクス解析も“手当たり次第”に網羅的に行われている印象を受けました。その研究規模の大きさに圧倒されると同時に、膨大なデータをいかに解析し、サイエンスとして意味づけるかの重要性を改めて実感しました。

 今回は3泊5日の弾丸スケジュールではありましたが、臨床・研究ともに新たな刺激とモチベーションを得られる非常に有意義な参加となりました。

     
  ▲ 日本からの参加メンバー   ▲ Presidential Dinnerにて  
   
  ▲ Korean Plastic Surgery Research Council (KPSRC)とのジョイントセッションの発表者・座長
(中央2名はJSWHからの演者)
 
         
     
  ▲ 米WHS会場にて   ▲ 現WHS President のVolk先生と  

 


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