第56回日本創傷治癒学会を開催するにあたって
第56回日本創傷治癒学会 会長
石川県立看護大学 成人・老年看護学講座
紺家 千津子
このたび、2026年11月22日(日)・23日(月・祝)の両日にわたり、石川県かほく市の石川県立看護大学において、第56回日本創傷治癒学会を開催させていただく運びとなりました。1971(昭和46)年に研究会として発足して以来、諸先輩方により受け継がれてきた本学会は、世界で最も歴史のある創傷治癒に関する学会です。その伝統ある学会を開催する機会を賜りましたことを大変光栄に存じますとともに、重責に身の引き締まる思いでおります。
今回の学会テーマは、「次世代創傷ケアと多分野融合:未来のケアをデザインする」といたしました。創傷ケアでは、目に見える創の状態を観察し、治療・ケアを行うだけでなく、組織、細胞、分子レベルで生じている変化を理解し、創傷を有する方一人ひとりの全身状態、生活背景、価値観を踏まえて、必要な支援を見極めることが求められます。マクロな視点とミクロな視点、科学的根拠と生活者としての視点を統合することが、これからの創傷ケアには不可欠であると考えます。また、その実現には、医療機関内のチーム医療の枠を超え、多分野の専門知識を融合させることが求められます。こうした姿勢こそが、次世代の創傷ケアの在り方であり、その実現には明確なビジョンが不可欠です。
会場となります本学は、令和6年能登半島地震の激震地に最も近い大学であり、発災直後より現在に至るまで支援活動を継続してまいりました。この経験を通して、平時から災害時、そして被災後の生活再建期に至るまで、切れ目なく創傷ケアを考えることの重要性を改めて認識しております。さらに、過疎化や超高齢社会の進展、在宅医療の拡大、地域医療の課題、医療資源の制約など、創傷ケアを取り巻く環境は大きく変化しています。医療機関内で完結するケアにとどまらず、地域、施設、在宅、そして多職種・多機関がつながり、遠隔地や被災地へのリモート支援も含めて、創傷を有する方々の暮らしを支える創傷ケアをどのように実現するかが、今後の重要な課題です。
本学会では、平時から災害時までを視野に入れ、未来のケアをデザインするための理論、技術、実践知を共有し、参加者の皆様とともに新たなビジョンを描いていきたいと考えております。特別講演、特別教育講演、シンポジウム、一般演題などを通して、基礎から臨床へ、病院から地域へ、そして現在から未来へとつながる多様な議論が生まれることを期待しております。若手研究者や新しい発想をもつ皆様にとりましても、自由に意見を交わし、新たな研究や実践の芽を育む場となれば幸いです。
開催地である石川県は、日本海に面した豊かな自然と、加賀百万石の歴史文化が息づく地です。晩秋の北陸ならではの風情の中で、学びと交流を深めていただけましたら幸いです。
第56回日本創傷治癒学会が、創傷治癒のさらなる発展に寄与し、ご参加の皆様にとって新たな知と仲間に出会う有意義な場となりますよう、真田弘美副会長、北村言事務局長ならびに実行委員一同、鋭意準備を進めてまいります。多くの皆様のご参加、ご発表、そして活発なご討議を心よりお待ち申し上げております。