WUWHS理事長からのご挨拶


長崎大学医学部 形成外科
秋田 定伯

 第4回世界創傷治癒学会連合会議 (The 4th Congress of the World Union of Wound Healing Societies, WUWHS 2012)が2012年9月2日~6日パシフィコ横浜において世界52ヶ国5,000名を越える参加者を迎えて開催することができました。会議の実現に向けて、多くの方々のご助言と提案、協力を賜りましたことに、感謝を申し上げたいと思います。事務総長として、第3回学会期間中、開催の誘致合戦への参加から、第4回会長の波利井清紀教授、名誉会長の大浦武彦名誉教授、その他形成外科理事、創傷関係の重鎮の先生方に支えられ無事創傷治癒関連の学会では世界一の規模の学会を開催することができました。恒例では、世界創傷治癒学会連合(World Union of Wound Healing Societies,WUWHS)の理事長は、次期学会開催までの4年間を会長がその任を引き継ぐ事になっておりますが、第4回会議の会長の波利井清紀教授からの温かいご支援で事務総長の私が引き受けさせて頂きました。2012年から第5回会議の2016年までの4年間、一期のみの職責ではありますが、既に3/4の期間が過ぎました。アジア地区からの初のWUWHS 理事長として、発展著しいこの地区を世界的な創傷治癒・治療のネットワークとして発展させようと活動してきております。北京、バンコク、高雄にWUWHSとAWT(Academy of Wound Technology)(創傷技術アカデミー)の、特にアジア地区でのAsian Academy of Wound Technology,AAWTとの共催で各々の現地大学(北京大学形成外科、タイSiriraj Hospital(Faculty of Medicine,Mahidol University),Kaohsiung Chang Gung Memorial Hospital)(写真1 MOU調停の様子)などのfacultyと共にworkshop及び講義で知識と技術・実践の啓発と相互理解

写真1
写真1:Kaohsiung Chang Gung Memorial HospitalでのMOU交換

を深めて、workshopの参加者は新規技術の習得や実践経験を小規模のworkshop を通じて得る事ができ、interactiveにinstructorとで意見交換が可能となります。Workshop は可能な限りwet lab としてlive animal を用いた創傷モデルの作成と創傷技術の実践をhands-onで経験する事、live animalが不可能な場合でもanimal modelを用いた創傷技術の習得hands-on を普及啓発しております。参加者にはcertificateを発行し、一定レヴェルの研修プログラムを実施しました(写真2,3)。また、マレーシアクアラルンプール国際学会期間中にアジアの創傷専門家をオーストラリア、マレーシア、香港、中国、タイ、フィリピン、シンガポール、スリランカ、インドネシア、インド、台湾とフランスを含めて20名を越える参加者と共に今後のアジア地区での教育プログラムと創傷啓発の進め方を検討しております(写真4)。これら検討会はフィリピンでの第2回目の会議、台北での第3回会議に引き続き、再度クアラルンプールでのアジア地区重点化構想諮問委員会会議開催にまで引き継がれております。
 更に、世界基準の創傷治療、教育を推進するための国際創傷ガイドライン作成検討会議(写真5)がイギリスのサウスハンプトンで開催され、International Journal of Lower Extremity Wounds誌の編集長のProfessor Raj Mani以下、 アメリカ、中国、エジプト、トルコ、インド、フランス、日本、次期学会開催会長のイタリアProfessor Marco Romanelli等も参加して、2016年第5回会議までには報告予定です。WUWHSが学術・実践の両面から取り組んだ初めてのガイドラインであり、今後の世界創傷へ一定の方向性を付けて参ります。特にアジア地区から、インド、中国、日本と多く参加しておりますので、アジアと世界の連携が計れる事と思います。

写真2写真2:Mahidol University(Thailand)でのworkshopのcertificate   写真4
  写真4:Kuala LumpurでのInternational Wound Conference期間中の専門家会議
     
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写真3:Kuala LumpurでのInternational Wound Conference のpre-conference certificate
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    写真5:Southamptonでの国際創傷ガイドライン作成検討会議での集合写真


 第5回世界創傷治癒学会連合会議はイタリアのフィレンチェで2016年9月25日~29日まで開催されます。日本創傷治癒学会もsupporting societyとして、多くの演題発表、参加を期待されていると共に、今回から企画されたsister societyとして9月25日にサテライト会議を開催することにもなっておりますので、宜しく御協力お願い申し上げます。

 

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