第47回日本創傷治癒学会を開催するにあたって


第47回日本創傷治癒学会 会長
京都大学医学研究科形成外科学教授
鈴木 茂彦

 2017年11月27日(月)と28日(火)の2日間にわたり京都で第47回日本創傷治癒学会を開催させていただくことになりました。創傷治癒は私にとって研究の原点であり、私が学会で初めて賞をもらったのは20数年前の本学会です。大学生活の最後の年に本学会開催の機会を与えられたことは非常に光栄なことと存じます。

 私が形成外科医になって最初に学んだ治療の基本は「キズを早く綺麗に治すこと」です。続いて学んだことはキズの治療におけるチームワークの重要さです。私は卒後最初に赴任した病院で重症広範囲熱傷の患者さんを受け持ちましたが、先輩外科医と看護師が総がかりで協力してくださったおかげで、毎日短時間で完璧な創処置ができ、救命と機能的整容的治療をなし得ました。このような体験から今回の学会の基本テーマを「多職種の力を1つに~キズを早く綺麗に治す~」とさせていただきました。

 ただし、医師・看護師のチーム医療だけですべてのキズが早く綺麗に治るわけはありません。難治性のキズを治すためには種々の分野のサイエンスの力を結集して、治癒メカニズムの解明や新たな診断機器、医薬品、医用材料を開発することが必要です。再生医学の応用ももちろん必要です。私は30年以上前に、医工連携の研究で人工真皮の研究を始め、その後産学連携プロジェクトに発展し実用化に成功しました。私が開発に携わった人工真皮は今なお創傷治療の一線で使われています。長期間使用され続けていることはうれしいですが、治療面の研究が足踏みしていると言えなくもありません。そこで、自戒の意味も込めて上位テーマを英語で「A new, borderless approach to wound healing」といたしました。時間軸を含めて、途切れなくありとあらゆる方向から創傷治癒研究にアプローチするという意味です。日本のみならず世界中のキズの患者を1人でも多く救うための手掛かりの得られる学術集会にしたいと願っています。

 キズを早く綺麗に治しても、肥厚性瘢痕やケロイド、さらには瘢痕拘縮が生じる場合があります。キズとキズアトは表裏の関係にありますが、一連のプロセスであることを思い返すことがさらなる治療法の改善に結びつくものと信じています。今回の第47回創傷治癒学会の会期中に第12回瘢痕・ケロイド治療研究会を併せて開催し、合同シンポジウムやパネルディスカッションを組みたいと考えています。

 その他、今回の第47回日本創傷治癒学会では京都大学での開催の特徴を出すための特別プログラムや、関係学会とのコラボレーションも考えています。

 学術集会会場は京都駅に直結したメルパルク京都を選びました。会期の11月最終週は1年中で京都の紅葉の一番美しい時期で、清水寺をはじめとする多くの名所ではライトアップが行われます。京都駅前からはこれら市内各地の紅葉の名所への足の便がいいですので、学会前の休日や学会中の熱気のある議論で疲れた時にはぜひ訪れて散策していただきたいと思います。

 皆様方のご参加をお待ち申し上げます。

第47回日本創傷治癒学会ポスター ←クリックでPDF表示 3.4MB

 

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