脂肪由来幹細胞と血管付きリンパ節移植の併用療法はマウスの下肢リンパ浮腫を改善させる


長崎大学医学部医歯薬学総合研究科 形成外科学講座
島根大学医学部 皮膚科学講座
林田 健志

 研究奨励賞を受賞させて頂きました。誌面をお借りして、指導して頂いた先生方、実験に協力して頂いた先生方に御礼を申し上げます。

 私は形成外科医ですので、創傷を持つ患者さん達に、どうにかして手術で治そうという努力を続けてきました。その成果をいくつかの学会で発表するうちに、内容が認められ、他の学会賞を頂くこともありました(第19回形成外科手術手技学会優秀賞、第2回国際小児創傷治癒学会Speaker Awardなど)。そういった経緯で、創傷治癒学という分野が私の主たる研究分野となり、今回の研究を開始する動機となっています。リンパ浮腫のある患者さんに、一旦、潰瘍が生じると難治となり、蜂窩織炎を繰り返します。そういった難治例に対して、血管付きリンパ節移植術は効果的な治療方法の一つとして、近年臨床応用され始めました。しかしながら、その手術の効果がない症例も多いと報告されています。今回のマウスを用いた手術と脂肪幹細胞の併用療法は、リンパ管の再生を促すことで、うっ滞したリンパ液を効果的にドレナージしました。リンパ浮腫が原因の難治性潰瘍を治癒させる可能性をもつ研究であると確信しており、今後も本研究を続けていきたいと考えております。

 

 

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