学会概要/理事長挨拶

吉田 昌 理事長日本創傷治癒学会は昭和46年(1971年)に創傷治癒研究会として発足しました。その後、平成12年に日本創傷治癒学会、平成25年に一般社団法人日本創傷治癒学会となり、現在に至っております。創傷治癒をテーマに掲げる学会としては、世界で最も古い学会とされています。2020年に創立50周年を迎え、2021年に次の50年に向けて新しいスタートを切りました。日本創傷治癒学会は下記のような特徴があります。

学会員の専門分野は、形成外科学、看護学、外科学、皮膚科学、内科学、歯科口腔外科学、整形外科学などの臨床医学のほか、病理学と法医学の基礎医学、薬学、企業の研究者などの幅広い専門分野から成り立っています。皮膚・頭蓋・胸壁・腹壁・消化管(吻合・瘻孔・潰瘍・びらん・狭窄)など、全身の創傷治癒が対象で、基礎・臨床のすべてのテーマが発表されます。様々な分野の専門家が集うことで、多分野ディスカッションが可能となります。このような意見交換の中から新しい診療や研究のヒントが得られ、その発展に貢献しています。

日本創傷治癒学会(JSWH)は日本の創傷治癒研究の国際的な発展を図ってきました。本学会は米国Wound Healing Society (WHS)のSister Societyとして学際的な連携を深めています。本学会の学術誌としてWHSの機関誌Wound Repair and Regeneration(WRR)を共有していて、学術集会の抄録はWRRに掲載されます。これまで、WHS-JSWH 合同シンポジウムを開催したり、米SAWC/WHSでの招聘セッションに演者を派遣したり、WUWHSにてセミナーを開催したりしてきました。今後も国際的な交流を推進してゆく予定です。

学術集会においては多くの基礎的検討が報告されております。創傷治癒および関連分野のすべてのテーマを歓迎します。創傷治癒メカニズムの分子レベルでの解析・再生医療も重要なテーマとして推進されています。本学会は、基礎的検討を臨床・社会貢献に結び付けるべく、基礎—臨床—企業連携を推奨しております。企業の賛助会員や企業に所属する研究者も集って意見交換をし、また、会員が起業するパターンもあります。

また本学会では、創傷治癒コンセンサスドキュメント—手術手技から周術期管理まで—を出版してきました。「手術創をキレイに治す、医師・看護師のための本」として、手術にたずさわるすべての外科系医療従事者が対象です。臓器手術を行う外科医も、形成外科・WOCナースなど専門の高い見識を参考に、毎日の診療に生かすことができます。今後もこの活動を進め、さらにインターネットを用いた情報発信の強化を検討しております。
このように日本創傷治癒学会は、個性的で他にない特長を持っています。今後、このような特徴をさらに拡大できることを願っております。関係する全ての皆様に御理解・御協力いただけますよう、お願い申し上げます。

日本創傷治癒学会 理事長
国際医療福祉大学病院 外科
吉田 昌



日本創傷治癒学会 沿革
1971年(昭和46年) 「創傷治癒研究会」として創設、事務局を慶應義塾大学医学部外科学教室内に設置
2000年(平成12年) 12月の第30回学術集会より学会に昇格、「日本創傷治癒学会」に改称
2001年(平成13年) 英文誌「Wound Repair and Regeneration」(WRR)を会員へ配布開始(Vol.9より)
会員向けのWRR誌巻末に「JSWHニューズレター」を創刊
学会ロゴマークが決定(第31回学会総会にて承認)
2002年(平成14年) 学会ホームページ(http://www.jswh.com/)を4月1日より開設
2004年(平成16年) 会員種別に「準会員」(年会費5,000円)を導入
2005年(平成17年) 研究奨励賞の設置(第35回学会より)
2006年(平成18年) 学会賞の設置(第36回学会より)
ガイドライン作成ワーキング委員会(現・ガイドライン委員会)の設置
2009年(平成21年) 学会賞選考委員会の設置
2011年(平成23年) 英文誌「Wound Repair and Regeneration」のオンライン定期購読導入
WRRオンライン購読に伴い、年会費額を改定
2012年(平成24年) WUWHS2012(於横浜)にてランチョンセミナーを開催
学会賞の募集を休止(第42回学会より)
学会会計年度を11月末から8月末に変更(2012年度のみ10ヶ月間)
第42回創傷治癒学会(於札幌)にて第1回WHS-JSWH 合同シンポジウムを開催
2013年(平成25年) 一般社団法人の設立登記(1月4日付)
「準会員」の種別を廃止
倫理委員会の設置
2014年(平成26年) 学会事務局を外科学教室から形成外科学教室に移転
 COI委員会の設置
2015年(平成27年) 米SAWC/WHS 2015での招聘セッションに演者2名を派遣
2016年(平成28年) 『創傷治癒コンセンサスドキュメント―手術手技から周術期管理まで―』 発刊(4月8日)
2020年(令和2年) 入会金を導入(9月1日以降入金分より適用)
2023年(令和5年) 英文誌「Wound Repair and Regeneration」の冊子配布停止に伴い、完全オンライン購読を開始
2024年(令和6年) 教育委員会の設置

 

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